
環境規制に関して、化粧品業界でもプラスチック削減やサステイナブルパッケージが重要なテーマになっています。また、化粧品の大量生産・消費・廃棄問題等、多くの問題を抱えています。
プラスチック問題
プラスチック容器や包装材が、リサイクルされずに自然環境に残ることで、生態系に悪影響を及ぼします。1次マイクロプラスチック「以下、マイクロビーズ」は、乳化剤、スクラブとして幅広いアイテムに配合されています。このマイクロビーズは環境汚染だけでなく、人体への影響も懸念されています。
<業界の取り組み>
- 素材の見直し:プラスチックの使用を減らし、生分解性素材やリサイクル可能な材料を導入。
- 製品設計の工夫:詰め替え式の容器や再利用可能な容器を提供することで、廃棄物を削減。
- 代替素材の使用:マイクロビーズの代わりに竹やくるみの殻、砂糖などの自然由来の成分を使用。
- 法規制の導入:現状の日本では、マイクロビーズの使用は禁止されていませんが、自主規制のもと削減を徹底。
化粧品の大量廃棄問題
競争激化による過剰生産、短いトレンドや需要の変化に対応しきれず、大量のバルク(未梱包製品)が売れ残ることがしばしばあります。加えて、バルク状態での品質保持、保管場所の限界の観点から廃棄を加速させています。また、消費者側の問題としては、肌に合わない、新しい化粧品に買い替えた、トレンドが変わったなどを理由に最後まで使い切らず廃棄してしまう「コスメロス」があります。
<業界の取り組み>
- 需要予測の精度向上:市場データを活用して製造量を需要に調整。
- 製品の寿命延長:品質保持技術の改善により、保存期間を延長。
- 廃棄バルクの再利用:廃棄対象となるバルクを再加工して新たな製品に活用。
- 在庫管理の効率化:流通段階での効率を向上し、売れ残りを削減。
- 消費者教育の推進:使い切ることや適切な保管方法を啓発。
動物実験問題
化粧品においても、安全性を確認するための試験として皮膚刺激試験、眼刺激試験等に動物が用いられています。
<業界の取り組み>
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動物実験の廃止宣言:多くの企業が動物実験を廃止し、倫理的な製品開発を宣言。
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代替試験方法の採用:細胞培養や皮膚モデル、コンピュータシミュレーションを活用した非動物実験を導入。
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製品ラベルの透明性:消費者に動物実験を行っていない製品であることを保証する「クルエルティフリー」ラベルの表示。
ジェンダー平等の実現
近年は多様性を認める潮流の中、化粧品においても女性だけが使用するものという考えではなく、男性用コスメや男女問わず使うことができるジェンダーレス・ジェンダーフリー製品の開発、販売が広まっています。
<業界の取り組み>
- ジェンダーレス製品:男性・女性を問わない中立的なデザインや使用感の製品の増加。
- 広告とマーケティング: 固定された性別役割のイメージを避け、誰もが使いやすい製品としての広告表現を採用。
- 製品開発: 様々な背景を持つ人々から意見を集め、より多様なニーズに応える製品を開発。
今回は、最近の化粧品業界を取り巻く環境をまとめてみました。美容という「明るい・華やかなイメージ」からは、表に現れてこない廃棄問題から環境汚染まで、今一度、持続可能な世界を実現するため考え直してみましょう。